食育だより2021年6月号「自立への第一歩!食べても食べなくても笑顔で楽しむ離乳食 ~後編~」
6月に入り紫陽花の花が少しずつ色づき始め、梅雨の気配を感じる時期となりました。
今月も、前編に引き続き離乳食についてお伝えします。
初めての育児は、食事面で不安なことも多いと思いますが、基本は「焦らずゆっくりお子さまのペース」で離乳食を進めていきましょう。今回は、離乳食を進める目安や離乳食各期のポイント、保育園の様子などをお伝えします。
目安となる離乳食の進め方スケジュール
進め方には個人差があるので、大まかな基準をご紹介します。
月齢 | 5ヶ月 6 7 8 9 10 11 12 15 18 |
ペースが速いお子様 |
初期1回食 2回食 ➡ 2~3回食中期 ➡ 3回食後期➡ 完了食 幼児食へ |
ペースがゆっくりなお子様 |
初期1回食 2回食 ➡ 2~3回食中期 ➡ 3回食後期 ➡ 完了食幼児食へ |
離乳食初期
生後5~6か月ごろになったら、離乳食スタートの目安時期です。
下記のリストに赤ちゃんの様子が当てはまるようなら 離乳食をスタートしていきましょう!
✿離乳食スタートのチェックリスト
□ 生後5~6か月である。
□ 体調・機嫌がいい。
□ 首がしっかりと座っている。
□ 支えると座ることができる。
□ 人が食べているのを見ると身を乗り出し、
口を動かして食べたそうな様子がある。
□ スプーンを口の中に入れても舌で押し出すことが
少なくなる。
食べさせ方のポイントは?
母乳やミルクなどを吸う動きから初めて食べ物を口に入れ飲み込むという動きになります。最初のころは、赤ちゃんの上半身を少し後ろに傾けるようにしてお母さんのひざに抱っこしてあげる良いでしょう。
保育園では、口からべぇーっと出したらスプーンで受け再度口の中に入れることを繰り返し、徐々に食べる事に慣れていきます。最初は、ざらつきが無いポタージュ状からプレーンヨーグルトの柔らかさで提供しています。のどごしをよくするのがポイントです。
ご家庭でも、決して無理強いはせず焦る必要はありません。赤ちゃんのペースに合わせて進めていきましょう。保育園でも、最初から上手に飲み込めることは少なく、繰り返し練習するうちに徐々に上手く飲み込めるようになっていきます。
✿初期2回食へのステップアップのチェックリスト
□ トロトロ状の離乳食を上手にゴックンと飲み込めている。
□ 主食のお粥以外にも、野菜類、たんぱく質源食品(豆腐など)の3種類が食べられる。
□ 1日1回食の離乳食を喜んで食べている。
👉離乳食を開始して1か月くらいが目安です。量を2倍に増やす必要はありません。一日の中で
食事をする機会を増やすイメージで取り組んでいきましょう。
離乳食中期
✿中期へのステップアップのチェックリスト
□ ベタベタ状のなめらかな離乳食を上手に飲み込める。
□ 主食、おかずと合わせて1回に子ども茶わん半分くらい
は食べられる。
□ 毎日の離乳食を喜んで食べている。
食事の固さ・とろみの付け方は? 椅子の座り方は?
この時期になると、舌が上下に動くようになり、舌で食べ物を顎に押し付けて潰すことが出来るようになります。
中期は、舌で潰せる硬さが目安です。赤ちゃんの口にスプーンを入れる時は、上唇にスプーンをあてて食べ物を入れがちですが、スプーンは赤ちゃんの下唇の中心におきます。上唇が下りてきて唇を閉じたら、スプーンを引き抜くようにすると、舌で潰しやすく口をもぐもぐ動かして食べてくれます。
保育園では、少しずつ水分量を減らしベタベタとした粒の残る状態にしています。とろみのない食材は、野菜や昆布の出汁などを加え、片栗粉でとろみをつけて飲み込みやすくしています。汁物など、水分の多いものはむせやすい為、赤ちゃんの飲み込むペースに合わせます。
また、一人で座ることができるようになったら、イスに座って食べる習慣をつけていきましょう。
保育園では、座りやすいようにクッションなどを入れて調節しています。
足がしっかりしてきたら、床に足がつくイスに座らせ、食事の基本姿勢を身につけていきます。赤ちゃんが、あごや舌に力を入れることができる姿勢が大切です。
離乳食後期
✿後期へのステップアップのチェックリスト
□ 豆腐くらいのやわらかなかたまりを、口を動かして
食べることができる。
□ 1食で合わせて子ども茶わん軽く1杯くらいの量を
食べられている。
□ バナナの薄切りを食べさせると、歯ぐきで噛み切る
ようなしぐさをする。
自分で食べる意欲を大切に! 遊び食べも成長のステップです。
赤ちゃんが自分で食べようとする意欲があり、手を伸ばしたり、ぐちゃぐちゃと手でつぶしてみたりするいわゆる「遊び食べ」はこのころは積極的にさせてあげましょう。
最初は上手に食べられないのが普通です。
手で食べ物をつかみ口に入れる動作は、ハイハイから歩行へと進歩するのと同様に段階があります。食べ物をやっと手でつかめても、実際に口に入れられるのはほんの少しなんてことを繰り返しながら、自分で上手に手づかみ食べが出来るようになっていきます。
テーブルや床に食べ物が落ちたり、手や洋服も汚れたりしてしまいイライラしてしまうこともあるでしょう。成長の過程で必要なステップだと思って乗り切りましょう。
遊び食べには、どのような成長があるのでしょうか?
食べ物に触ることで感触や温度を感じ、食べ物を落とすのを見たりすることで、赤ちゃんの好奇心や五感を刺激します。
また、上手く口に入れられても多く詰め込み過ぎてしまう経験で自分の一口量を知り、食べ物と自分との距離感覚も学んでいます。
保育園では、自分で食べやすいように、野菜をサイコロやスティック状にして提供し、『自分で!』の気持ちを大切に育てています。
こうした自ら食べ物に触れる経験の積み重ねで、手指の皮膚が刺激され感覚機能や運動機能・認知力などが身につき、脳の発達にもつながると言われています。遊び食べには、たくさんの発達要素があるのです。
完了食
✿完了期へのステップアップのチェックリスト
□ 朝昼夕の3食がしっかり食べられている。
□ バナナくらいのかたさのものを、口をリズミカルに動かして食べている。
おやつ(間食)について
完了期になると1日の食事の約80%を離乳食からとることになります。
栄養面を考慮し、3回の食事に加えておやつをあげると良いでしょう。
保育園でも完了食の時期からおやつを提供します。「おやつ」としてイメージされるのは、スナック菓子や甘いものがありますが、今の時期は食事の一部と考えましょう。保育園では、おにぎりやサンドウィッチ、ふかし芋・乳製品やフルーツなどを提供し、食事で補えないエネルギーや栄養を摂取できるようにしています。
幼児食
✿幼児食へのステップアップのチェックリスト
□ 3回の食事をきちんと食べ、20分程度で
食べている。
□ 前歯で食べ物を噛み切って、歯ぐきや
奥歯で噛んでたべられる。
□ 根菜類や揚げ物など、食べられる食材が
増え必要な栄養の大部分を食事からとっている。
この時期は、食べムラや好き嫌いがでるなど、食に関する悩みもでてくる頃です。保育園でも、食事の量について良く質問を受けます。下痢や便秘が無く体調が良く、お子さまが発育曲線から大きく外れていなければ問題ありません。逆に下痢や便秘が続くようなら食事面での見直しをお勧めします。
食生活の乱れは、成長してからの肥満や生活習慣につながります。今の時期から生活のリズムを整え、規則正しい食生活を心がけたいですね。
離乳食は、育児本通りに進める必要はありません。情報は、あくまでも目安と考え、焦らず赤ちゃんのペースで進めて下さい。
赤ちゃんも、甘味・うま味・塩味・苦味・酸味などを感じると言われています。これらの味覚を「おいしさ」として感じるようになるには、離乳期から色々な素材の味を体験し、味覚を発達させることが大切です。
そうすることで偏食を防ぎ、大人になってもバランスの良い食事を楽しむことができるのです。
最後に、離乳食と同じくらいご家族の食事も大切にして欲しいと思います。一番身近なご家族が一緒に食事をすることで、赤ちゃんは食べ方や食習慣を学びます。時には、ベビーフードを使ったり、まとめて作ったものを冷凍するなど、ご自身がほっと出来る時間を持ちましょう。
是非、赤ちゃんと一緒に食事の時間を楽しんでください!
- 2018年