「これってSDGsじゃない?」明日葉保育園、食品ロス削減を目指し園児たちが自らコンポストに挑戦
~幼児期からSDGsの課題を考え体験するさまざまな取り組み~
明日葉保育園では、子どもたちが環境に関連するSDGsの課題を自ら考え、楽しく体験できるさまざまな取り組みを実施しています。
明日葉保育園大倉山園では、食品ロスの削減のため、「コンポスト」を始めました。給食の残菜が栄養たっぷりのたい肥に変わることを目指し、7月5日から毎日、園児たち自らコンポストに取り組んでいます。
大倉山園のコンポストの取り組み
園で毎日出る給食の残菜を活用したいという想いで始まったコンポストの取り組み。園児たちは当番制で毎日、給食室から残菜を受け取り、コンポスト容器に入れてシャベルで混ぜます。
これを2ヵ月間繰り返した後、3週間発酵させると、栄養たっぷりのたい肥が完成します。完成したたい肥は、子どもたちの野菜の栽培に活用することで、資源の循環を体験し、子どもたちの食育にもつなげます。
取り組みを始める際に、保育士の先生が給食の残菜を使って、たい肥を作ることを説明すると、子どもたちから「これってSDGsじゃない?」という声があがりました。その後も、SDGsのゴール“世界を変えるための17の目標”についての説明を見ながら「SDGsの2番じゃない?」「12番にも当てはまりそう!」などと子どもたちの間で話し合いが始まりました。子どもたちがSDGsについて理解し、自主的に考えるようになったことから、これまでのさまざまな取り組みの効果がみえました。
大倉山園の多様なSDGsの取り組み
大倉山園では、担任の先生がSDGsのゴール“世界を変えるための17の目標”について、日頃から子どもたちにお話ししています。コンポストの実施は、これまでの取り組みによってSDGsの意識が浸透してきた子どもたちに向けて、もっと日常的にSDGsを考えられる取り組みをしたいという想いで、大倉山園の古屋先生・原田先生のアイディアから始まりました。
二人を中心に、園では保育士の先生たちから、子どもたちが楽しんで取り組めるSDGsの取り組みのアイディアがたくさん出てきて、実行しています。今回は、環境に関連した取り組みの一部をご紹介します。
①水を綺麗にするろ過装置の制作
明日葉保育園全園で取り組んでいる異文化体験プログラム「あしたばドア」では、体験型のストーリーで子どもたちが環境問題について学んでいます。大倉山園では、タイの川の汚染について学び、綺麗な飲み水を作るためにはどうすればいいのか、子どもたちで調べました。
そして、手作りのろ過装置にたどり着いた子どもたちは、ペットボトルに脱脂綿や小石、砂利、活性炭などを詰め、泥水をろ過する実験を行いました。
②どんぐりを集めて樹木を増やす「どんぐり銀行」の取り組み
高知県大川村で行われている「どんぐり銀行」は、どんぐり100個で苗木1本と交換、もしくは大川村に植樹される取り組みです。園児たちは、秋になるとお散歩でたくさんのどんぐりを拾って持って帰ってくるため、大量のどんぐりを「どんぐり銀行」に預け、大川村の植樹に貢献しました。
③子ども服の再利用
保育園に通う子どもたちは成長が早く、すぐに服のサイズが合わなくなってしまいます。園では、保護者様にサイズアウトした子ども服の寄付を募り、園の夏祭りの「リサイクルコーナー」から自由に持ち帰ってもらう取り組みをしました。夏祭りで残った服は、発展途上国のワクチン寄付につながる慈善団体に寄付をしました。
保護者様も巻き込んだSDGsの取り組みに「サイズアウトした服の処分に困っていたので助かる」「他の必要な方の役に立てる取り組みに参加できて嬉しい」などの声をいただきました。
このように、大倉山園ではさまざまなSDGsの取り組みを行っています。環境に関連した取り組み以外にも、プライド月間の6月にはジェンダーについて考える時間を設け、多様性やジェンダーレス、セクシャルマイノリティについての話をしました。
原田先生は今後の取り組みについて、「SDGs の17の目標を1枚ずつ切り離したカードにし、これまでの取り組みがどの目標に当てはまるのか、取り組みを振り返りながら子どもたちに分類してもらおうと考えています」と話しました。
また、保育園でSDGsに取り組む意義について、古屋先生と原田先生は「幼児期からSDGsの課題を考え体験することで、今後の成長過程で一人一人がSDGsを意識した選択を行ってくれると思います。子どもたちが、これからの時代に不可欠なSDGsの課題を当事者として理解することが、持続可能な社会を築いていくことにつながると考えています」と話しました。
- 2018年