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食育詳細
   

【食育だより2021年9月号】 今すぐできる、家族でやろう!非常食の備え

「もしものために備えよう」という時の、「もしも」ってどんな時だと思いますか?まず思い浮かぶのは、東日本大震災や阪神淡路大震災などの大きな地震でしょうか。他にも、台風や大雨など私達の周りにはたくさんの「もしも」がひそんでいます。自然災害だけでなく新型コロナウイルス、インフルエンザなどの感染症などによる脅威も「もしも」になるでしょう。

まずは、何かが起こった時に慌てない為に、どんな準備をしておけばよいのか、親子で一緒に少しずつ無理なくできる「食」の備えについて紹介致します。

 

 

■非常食=災害食?

「日本災害食学会」によると、この二つは分けて考えるといいます。

    

 

 

■ローリングストック(回転備蓄)とは

「備蓄しておいたのに気づいたら期限切れ」「いつも気にかけるのは大変」そんなこともあるのではないでしょうか?そこでおすすめなのが「ローリングストック(回転備蓄)」です。

常に新しいものが補充されるので、自然に期限を管理することができます。普段から口にしているものを災害時の食卓でも準備できることは、安心感にもつながるでしょう。

 

 

■ローリングストックのいいところ

① 食べ物が選べる

賞味期限が、3年~5年のものとなると、買えるものが限られます。食べながら備えれば、賞味期限がそこまで長くなくても災害食として使えるでしょう。

② 期限切れを防げる

普段から食べていれば、期限切れの心配がないでしょう。

③ 好みのものにできる

好みのものがそろっていきます。ストレスの大きな災害時、がまんして食べずにすむのは大きな利点でしょう。

④ 備蓄場所を意識できる

日頃から食べていれば、家族みんなが備蓄場所を意識できるでしょう。

 

 

■どんなものをどのくらい用意したらよいの?

災害発生からライフライン復旧まで1週間以上を要するケースが多く見られます。また災害支援物資が3日以上到着しないことや物流機能の停止によってスーパーマーケットやコンビニエンスストアで商品が手に入らないことが想定されます。

このため最低3日分×人数分の食品の家庭備蓄が望ましいと言われています。

 

<大人1人分1日分の目安量>

○飲料水 3L

※調理用も含め3L必要。乳児がいるご家庭は粉ミルク調乳のため多めに備蓄しましょう。生活用水も必要です。日頃からお風呂の水を張っておく、などの備えをしておきましょう。

○ご飯(アルファ米) 3食分

※お粥は水の量を増減することでご飯の柔らかさを調節でき、乳児から高齢者、食欲低下した際などにも役立ちます。

○缶詰 2~3缶

○レトルト・インスタント食品 2~3種類

○お菓子(ストレスを和らげ、安心感にもつながります。)

 

保育園では非常時1日分(食事3回分)のアレルギーに配慮した非常食を備蓄し、簡易給食2日分(食事6回分)の献立を作成しています。

棚が倒れて非常食、災害食が下敷きになったり、入り口がふさがれたり、水害で水に浸かって食べられなくなったり備蓄品を1か所にまとめるとすべてダメになるおそれがあります。そのため非常食、防災用品は1ヶ所に収納するのではなく、様々な災害を想定し2.3ケ所に分けて収納し、どこに何が収納してあるのかを全職員で共有しています。

 

 

■水・熱源が限られていても温かい料理ができる!

災害時は電気、ガス、水道といったライフラインが使えない可能性があります。そんな時に役立つのがパッククッキングです。プロが使う真空調理法を家庭向けにアレンジしたものとして生まれました。それが災害時にも役に立つとされ、注目されています。

パッククッキングとは、ポリ袋を使って行う調理方法で、食品を混ぜる、漬け込む、加熱するなどをすべて袋の中で行うことができるため、時短テクニックとして注目されています。

さらに、使い終わった後はそのまま捨てることができるので、洗い物が少なくなります。

農林水産省の非常食に関するページでも紹介されており安全性や便利さが実証されている調理法であることがわかります。

 

<作り方のポイント>

①熱に強い半透明の高密度ポリエチレン製の袋を使います

②食材は平らに入れる(火の通りを均等にするため)

③なべの底にお皿を敷く(熱で袋に穴があくのを防ぐため)

④しっかり空気をぬく

⑤袋の口近くを結ぶ(熱すると中身がふくらむので)

⑥味つけはひかえめに(後から薄くできないため)

 

 

■パッククッキングレシピ

【ご飯】

 

(材料)お茶碗2杯分

 ・無洗米 1合    ・水 180m

 

①無洗米と同程度~少し多めの水をポリ袋にいれる。

②袋の中の空気を抜き上のほうでしっかり結ぶ。そのまま30分浸水させる。

③鍋に皿とポリ袋がかぶるくらいの水を入れる。

④ポリ袋を鍋に入れ蓋をし、沸騰したら中火で30分加熱する。

⑤30分たったら火を止めそのまま置いて10分蒸らす。

 

【切り干し大根】

(材料)5~6人分

・切り干し大根 50g  ・高野豆腐 10g

・醤油 大さじ2杯  ・砂糖 小さじ2杯

・みりん 小さじ2杯 ・水 300ml

 

①切り干し大根と高野豆腐をポリ袋に入れ水で戻す。

②調味料を加え空気を抜き上のほうで結ぶ。

③鍋に皿とポリ袋がかぶるくらいの水を入れる。

④ポリ袋を鍋に入れ蓋をし、20分加熱する。

 

【ココア蒸しパン】

(材料) 5~6人分

・ホットケーキミックス 100g  ・ココア 大さじ1杯

・砂糖大さじ2杯  ・水  90ml

 

①ポリ袋に材料を全部入れてもみ混ぜて袋の空気を抜き上のほうで結ぶ。

②沸騰した鍋に30分入れ蓋をして30分加熱する。

※ココアで、ミネラルも補給できます。

 

<パッククッキングが役立つ理由>

① 水の節約になる

② 少ない調味料で美味しく調理できる

③ 一度に数種類つくれて、ガスの節約になる

④ 非常食に栄養をプラスできる

 

 

■防災ランチのすすめ

ローリングストックでは災害食を食べて使うことが大切です。普段の食事で使うだけでなく「災害食の日」を決めて、家族で食べる機会をもちましょう。

パッククッキングも何でもないときに練習してみて実際の食べ方を経験しておくことで災害時の練習にもなります。

保育園でも防災の日などに非常食を給食やおやつで定期的に食べています。子どもたちはパックのまま食べることを興味をもって体験しています。

災害が起きてからできることは限られていますが、今できることはたくさんあります。いろいろな方法がありますので各家庭に合うやり方を見つけ、日頃から家族で共有しておきましょう。

 

<参考文献>

災害食がわかる本  理論社

食のお役立ちBOOK メイト

農林水産省 HP 災害時に備えた食品ストックガイド

 

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