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現場力インタビューVol.9 「蓮根園のSDGsの取り組み」

現場力作成者:明日葉保育園蓮根園 園長・加村 直子さん、二川 昌子さん

 

園長・加村 直子さん (写真左)、 二川 昌子さん (写真右)

ソシオークグループの「現場力」とは
「現場力」とは、フードサービスや子育て支援、運行管理・移動サービスなど現場ではたらくソシオークグループの社員が自ら課題や改善点を見つけ、知恵と工夫によりチームで改善を重ねていく取り組みです。自ら考え実践するナレッジワーカーとしての誇りの醸成や、個人の持続的成長につながるとともに、各現場の意欲向上や組織の活性化にもつながっています。

 

明日葉保育園蓮根園では、現場力の取り組みとして、2つのSDGsの取り組みを実施しています。

一つ目は、未来を生きる子どもたちが、SDGsを自然に取り入れることができるよう、SDGsの「17の目標」を子どもたちにも分かりやすい文言にしたという加村園長の取り組み。
二つ目は、蓮根園給食室で働く栄養士の二川さんが、加村園長のSDGsへの想いと「食育」をつなげた「SDGs工作」の取り組みです。

蓮根園で行う2つのSDGsの取り組みについて、お二人にお話を伺いました。

 

 

――まずはSDGsの目標を子どもたちに分かりやすい文言にした現場力の取り組みについて、始められたきっかけを教えてください。

加村園長:SDGsのマークを目にすることが増え、気になっていた頃、板橋区私立園長会の研修でSDGsについて学ぶ機会がありました。その時、SDGsは「だれ一人取り残さないことを目指し、先進国と途上国が一丸となって達成すべき目標」という言葉が心に残りました。

これからの世界・社会を生きていく子どもたちが、無意識のうちに自然と行動できるようになるためには、乳幼児期から生活の中で取り入れることが大切と考え、できることから始めてみようと思いました。

そこで、子どもたちにもSDGsの目標を自然に意識してほしいと思い、子どもたちにも分かりやすい文言に変える取り組みを始めました。例えば「2飢餓をゼロに」は「野菜や果物を育てる」、「7エネルギーをみんなにそしてクリーンに」は「使わない電気はこまめに消す」、「11住み続けられるまちづくりを」は「近隣の方に挨拶をする」など、子どもたちが日常の中で行える行動を分かりやすく示してみました。

これをポスターにして、各クラスと玄関のお知らせコーナーに貼り出しています。

 

 

――子どもたちや保護者様からはどのような反応がありましたか?

加村園長:子どもたちの意識が変わりましたね。お散歩で外出するときに「電気を消さなきゃ」と自分から電気を消したり、給食の時間も「もったいないから頑張って全部食べる」と完食するようになりました。

「あしたばドア」(※)で、子どもたちはタイの川の汚染について学び、綺麗な水を飲めることが他の国では当たり前ではない、ということを知りました。それから子どもたちは、おうちでも水を大切にすることを実践しているようで、ある保護者様からは「先生、うちの子が水を止めすぎるんです…料理の片づけがしにくいです」と笑いながら教えてくださいました(笑)。

(※)「あしたばドア」:明日葉保育園が実施している海外の保育園とのLIVE交流プログラム

 

――二川さんはSDGs工作の取り組みを始められましたね。こちらを始めたきっかけについても教えてください。

二川さん:コロナ禍で、クッキングなどの密になる食育の取り組みができず、何かできないかと模索していました。そんな時に保育士から「子どもが魚の名前を全然知らない」と聞きました。どれどれと思い、子どもたちに数種類の魚の絵を見せてみたところ、全部「マグロ!」と言われたんです(笑)。

そこで、まずは工作を通して魚に興味を持ってもらおうと、子どもたちに牛乳パックを使って各々が考えるオリジナルの魚を作ってもらいました。それと連動して、給食室にもカレイやウナギ、金目鯛など、たくさんの魚の絵と、その魚の名前を飾ってみました。

 

 

――子どもたちに変化はありましたか?

二川さん:マグロしか知らなかった子どもが「これは金目鯛だね!」と魚の種類を覚えてくれるようになりました。また、魚以外にも、給食室から出た牛乳パックや段ボールなどの廃材を使って、季節の花を作ったり、かわいいカバンを作ったりしています。

保育士と相談しながら、子どもたちの手先が器用になる工作を取り入れ、ハサミを上手に使えるようになったり、布を使って三つ編みができるようになったりなど、子どもたちの成長を感じています。

 

――SDGsと保育・食育をつなげた素敵な取り組みですが、普段から保育士・栄養士の間でコミュニケーションがあり、このような取り組みが生まれたのでしょうか?

二川さん:コロナ前は栄養士・保育士が一緒にお昼を食べていたので、楽しく雑談していました。今はコロナ対策でお昼は別々ですが、変わらずよくコミュニケーションを取っています。今回の取り組みのように、「魚の名前を知ってほしい」という保育士の要望を食育で解決することもありますし、こちらから「みらいエナジー」(※)をもっと園に浸透させたいという要望を伝えて、保育士に制作を手伝ってもらうこともあります。相談したら一緒に考えてもらえる、恵まれた環境だと思っています。とにかく、何でも話すようにしています。

(※)「みらいエナジー」:明日葉保育園オリジナルの食育キャラクター

 

――今後考えられている取り組みはありますか?

二川さん:給食の調理から出た玉ねぎの皮を使った、ハンカチのしぼり染めを考えています。たまねぎの皮を煮ると綺麗な黄色い汁ができるのですが、ハンカチに輪ゴムを巻いてそれにつけると、自分だけの模様がついたオリジナルハンカチができあがります。

これを私からの卒園プレゼントにしようと思っています。小学校に進学しても、給食の前には必ず手を洗う習慣を続けてほしいな、その時にこのハンカチを使って、保育園での活動を思い出してほしいな、と思っています。

 

捨てる予定だったゴザを切って、バッグの持ち手に使いました。

 

――現場力から生まれた、素敵な取り組みをたくさんお聞きできました。蓮根園での、現場力に対する想いや、今後の意気込みを教えてください。

二川さん:今期は現場力を通して、子どもたちと一緒に楽しんでSDGsに取り組めました。来期は子どもたちとの取り組みを、ICTツールを使って保護者様に配信したり、SDGsの取り組みに保護者様も参加していただいたりして、保護者様・地域の方を広く巻き込んでSDGsに取り組んでいきたいですね。

加村園長:現場力全体のことで言うと、蓮根園の先生たちには、気づく力を身に付けてほしいと考えてきました。園長の役割としては、社員が何気なく行っていることを取り上げ「それって現場力じゃない?」と声をかけ、小さなことにも目を向けられるように心がけてきました。

来期からは、より気づく力を進化させ、気づいたことをそのタイミングで現場力レポートとして形に残していければと考えています。

現場力アワードで表彰されることも嬉しいですが、社員一人一人が小さなことに気づき・改善することで、保育園が子どもたち、保護者様、働く仲間にとってより良いものになる、という自覚を持てることが、大切だと思っています。